「楽ポン」を体験した人は、みなさん口を揃えてこう言います。
「容器って、こんなにカンタンに開くんだ!」と。
容器の手前の角(プッシュポイント)の下に指を添えて上からつまむように押すと
ポンっと蓋が開く設計で、使う人に優しい容器の「楽ポン」。
片手でカンタンに開くその構造とは?
例えば、惣菜が入った一般的な容器を開ける時、まず貼ってあるテープを剥がして蓋を開けます。片手では開けられません。さらに、形状や構造的に開け方が難しいと力任せに引っ張ってしまい、中身が外に飛び出てしまう危険も。「容器は開けにくい」と、何らかのストレスを感じているエンドユーザーが多いことは、取引先である代理店やスーパーマーケットからもよくお聞きする話でした。そこで、「どうすれば開けやすくなるのか?」「開けやすくするとは、どういうことなのか?」という問題について考えるところから開発がスタートしました。
両手を使って開けるのは、従来のスタイル。それよりも何かいい方法がないかと、手の使い方、力の加わり方を考えていった結果、ひらめいたのは、開ける力より「つまむ」力のほうが、しっかりと力を加えられるのではないかということ。クリップのように、両手ではなく、片手でつまんで開く方法があれば、今までにない新しい機能を持った容器が開発できると考えたのです。ただ、「つまむ」だけでは「閉める」ことになるので、次に思い付いたのがテコの原理です。ここまでは、比較的たどり着きやすかったのですが、その形状や強度を考え、容器で実現するまでの調整が、実は最も難しい道程だったのです。
テコの原理を取り入れた形状を考えてみたものの、なかなか思うようには開きません。つまんだ時に力が伝わらず、ましてやシート成型だから複雑な形はできない。持ち堪えられる強度を計算し、しかも指の動きを考えながら、力を上手く伝えられる方法を考え、幾度も試作を繰り返していきました。その結果、単にテコの原理を使っているだけのように見えて、実はつまんでぐっと押すと前側の支点から後ろ側の支点へと切り替わると同時に、その動きで蓋を高く持ち上げる形状を実現。片手でラクに開けることに成功したのです。「楽ポン」も諦めない気持ちと高い成型技術があればこそ、実現できた製品です。
実際に「楽ポン」体験アンケートを実施したところ、95%以上の人が「開けやすい」と答え、「開けにくい」という意見はゼロでした。店頭でお使いいただいての声なので、間違いありません。また、「楽ポン」は上から押さえただけでは開かない「安心設計」。ワンプッシュで開けやすいのはもちろん、閉めやすいので作業効率もアップします。こうした特徴から、「楽ポン」の今後はスーパーマーケットだけではなく、高齢の方や手が不自由な方のための技術として、医療や福祉分野でも生かせる方法があるのではないかと考えています。食品に限定せず、違う分野での活躍も期待できる容器です。