SPECIAL 02

新製品開発ストーリー

きっかけは一台の
キッチンカー。
食品容器の
新しいムーブメントを
巻き起こし続ける

「VK‐600シリーズ」に端を発する「TN-600シリーズ」「BF-600シリーズ」の
計3シリーズの食品容器が好調な売れ行きを見せている。
もともとはキッチンカー用途で考えられた製品が
いかにして拡大していったのか?
その背景には開発担当者の自由なアイデアがあった。

MEMBER

マーケティング部 プロダクツ課

青木 美希Aoki Miki

お客様のニーズに応える、新製品の企画開発に取り組む。趣味は陶芸で、約10年にわたり楽しんでいる。

マーケティング部 プロダクツ課

橋本 愉生Hashimoto Yu

プロモーション課を経て2年目から製品開発にチャレンジ中の期待のホープ。社会人のバスケサークルで活動しながら人脈を広げている。

営業開発本部 開発第二営業部 特販第一課

下井 侑哉Shimoi Yuya

営業としてコンビニエンスストアや外食、ECストアなどへの新販路開拓を担当。会社のテニス部で汗を流しつつ社内横断の交流を楽しんでいる。

店主とのちょっとした雑談から
キッチンカー向け製品が誕生

青木

私と橋本さんが所属するプロダクツ課は、文字どおりの新製品開発に取り組んでいる部署。当社ではスーパーマーケットやコンビニエンスストアで見かける食品容器を数多く手掛けています。

橋本

ただ、VK-600シリーズはキッチンカー等のテイクアウトをターゲットにした製品として発売されたので、その点は従来の流れとは異なっています。

下井

VK-600シリーズが誕生したのは、東京オフィスの前によく出店しているキッチンカーがきっかけなんですよね。店主と営業社員が雑談していた中で、新製品のアイデアが生まれたと聞いています。

青木

二人が入社する10年ほど前だったかな? そのキッチンカーの店主から「少人数で作業しているので、もっと作業効率をあげたい」「料理を盛付けたとき熱すぎて手で持てない」と悩みを聞いた営業が、当社の製品で対応できないかと社内提案したのが始まりです。ちょうどキッチンカーに注目が集まっていた時代で、都内各所で出店されるケースが増えていたので、他のキッチンカーの店員にもヒアリング調査を行いました。調査の結果、「手で持ったときに熱い」、「作業効率を改善したい」が課題として多く挙がり、それをクリアするための新製品開発がスタートしました。

橋本

まず、「手で持ったときに熱い」の課題に対しては、PSP素材で対応できると思いました。こちらの素材は、断熱性かつ保温性が高いため、テイクアウトにおいて適しています。 そして、「作業効率を改善したい」の課題に対して、誕生した新機能がVロックです。狭い環境で作業するキッチンカーでの効率性を考慮して、片手でもワンタッチで蓋が閉められる仕様に作り上げました。

青木

使い勝手には一番こだわりました。キッチンカーでは基本的に調理も盛付けも会計も少人数で行います。その中で輪ゴムやテープで留める作業は結構な手間なので、Vロックを初めてキッチンカーの方にお見せすると、「わぁ、これいいね!」と良い反応が返ってきました。

橋本

他にも、本体と蓋が一体となった折蓋形状も大きなセールスポイントです。

青木

本体と蓋がバラバラに置いてあると、狭いキッチンカーでの管理が煩雑なため、一体化しているというのは好評を博しました。

下井

そういえば、VK-600シリーズを開発した後、当社展示会のブース内にキッチンカーを呼んだって本当ですか?

青木

本当です(笑)その場で試食ができるようにしたんですよ。おかげで使い勝手の良さや持ちやすさ、食べやすさを体感してもらえたと思います。

THEMA 01

電子レンジ対応にバージョンアップ
使い勝手を考慮したデザインを採用

青木

VK-600シリーズはその後、色やサイズを追加しながらバリエーションを増やしました。定番ラインとして根強い人気を誇り、キッチンカー以外にも飲食店のテイクアウトやイベント用途へも販路を拡大しました。さらにその価値が再認識されたのは、VK-600シリーズ販売から数年後、橋本さんたちがTN-600シリーズの開発に乗り出してからですね。

橋本

VK-600は、テイクアウトやイベント用途だけでなく、スーパーマーケットからも注目を浴びるようになりました。「形状がおしゃれでさまざまなメニュー開発に活かせる」「本体と蓋が一体化しているので在庫管理が改善できる」というのが主たる理由ですが、一つ問題が……。

下井

残念ながらVK-600シリーズのPSP素材は電子レンジ非対応。スーパーマーケットで購入した弁当や惣菜は、帰宅後に電子レンジで温めることが多いですからね。

青木

そこで、電子レンジ対応のTN-600シリーズを開発しようという話になりました。幸いにも当社は多くの素材を扱っていますから、比較的スムーズに開発は進みました。

橋本

一番のネックとなったのは、ユーザーからVK-600シリーズも引き続き使用しながら、TN-600シリーズも併用したいとご意見をいただいたことでした。

下井

よく見れば素材の質感が異なりますが、パッと見では2シリーズとも同じように見えちゃうんですよね。

橋本

調理で忙しくしている中ではVK‐600シリーズとTN-600シリーズを間違えて利用してしまいかねません。そこで、TN-600シリーズは蓋の天面の四隅に目印を作り、見て、触って区別できるようにしました。

下井

私は営業担当としてVK-600シリーズとTN-600シリーズはよくお客様に提案しています。営業的にはウリになる部分がはっきりと出ているのが嬉しい製品です。

THEMA 02
THEMA 03

環境配慮型製品へと
さらなる進化を遂げる

橋本

好調の2シリーズの流れを受け、BF-600シリーズの開発がスタート。温室効果ガス問題が深刻化する昨今、環境に配慮した製品が求められていました。

青木

BF-600は、従来の2シリーズの形状を踏襲し、一部ラインナップにはバイオマス素材を約10%配合しました。

橋本

従来の2シリーズは作業性を優先させるため、Vロック機能を採用していました。しかし、スーパーマーケットでは異物混入を防ぐフードディフェンスが重要なため、BF-600シリーズは違う嵌合方式にしました。

下井

最終的に採用されたのはお弁当容器でも多く用いられている側面嵌合方式。スーパーマーケットなどで使用されることを想定し、シーンに適したタイプを取り入れているんですよね。従来の2シリーズはテープ留めなしには陳列できませんでしたが、「BF‐600シリーズならば懸念点が解消されます」という提案もできます。

橋本

もちろん本体と蓋は一体化しているので、使い勝手や保管しやすさは従来の2シリーズの特徴を踏襲しています。また、積み重ね適性にも対応しているので、売場陳列時や持ち帰り時に製品が崩れにくく、食材を綺麗に保つことが可能です。

青木

BF-600シリーズの一部ラインナップには、(一社)日本有機資源協会のバイオマスマーク認定を受け、容器外側にバイオマスマークが印字されています。

下井

お墨付きが得られたのも、営業としては売りやすいポイントです。そういえば、印字するバイオマスマークの色にもこだわられたとか?

橋本

そうですね。陳列された際に違和感がないよう、試行錯誤しながら売場に溶け込むような色合いに調整しました。

全員が一体となって
新製品の創出に努める

下井

この3シリーズが存在することで、営業として一番のメリットとなっているのは、お客様に多様な選択肢を提示できる点に尽きます。VK-600シリーズで言えば、作業性・保温性・断熱性が高いですし、耐熱性を付加するならTN-600シリーズ、異物混入や環境配慮を意識するBF-600シリーズと、本当に多くのニーズにお応えできます。

青木

原点となるVK-600シリーズが今も市場に浸透していて、さらには新シリーズまで登場しているというのはとてもありがたいことです。

橋本

私はVK-600シリーズを踏襲したTN・BF-600シリーズの製品開発に携わりました。ゼロベースの開発ではないので比較的開発を進めやすかった反面、VK-600シリーズから離れすぎるわけにもいかず、アイデアを練るのに悩ましい時間を過ごしました。

青木

食品容器の形状が決まっていると、難しいところはありますよね。

橋本

それでも可能な限り、食品容器に料理を盛付けるときの使いやすさや、生活者が食卓で料理を食べるまでの利便性を考えながら、一つひとつ丁寧に作り上げてきました。

下井

橋本さんや青木さんらマーケティング部には、営業現場で収集した情報を常に共有しています。「こういった市場がありそうなんだけど、一度調査してもらえませんか?」といった会話がきっかけとなって、新しい開発が始まることもしばしば。営業もモノづくりの一員となれていると実感します!

青木

VK‐600シリーズもきっかけを与えてくれたのは営業ですしね。

下井

自ら行動すれば新製品開発きっかけの種に出会える可能性が広がります。

THEMA 04
THEMA 05

これからも時代を先取りした
製品開発・販売を実践したい

青木

実際に製品として形になった後、それによって課題解決できたという声は営業を経由して聞こえてくることがよくあります。やっぱりその瞬間は何度経験しても嬉しいものです。

橋本

開発としては、どう評価されるかわからない不安の中で製品を送り出しています。だからこそ、高い評価を受けたときは安堵感がありますし、そこが面白み、やりがいに繋がっているとも感じています。

青木

マーケティング部に所属している以上、時代の流れに合わせた製品を先取りして作っていく必要があると思いますので、これからもお客様に満足していだける製品をリリースするべく、小さな変化を敏感に察知した開発を進めたいと思っています。

橋本

食品容器は私たちの生活から切っても切り離せない食のインフラです。私自身、食文化を支える企業の一員として、お客様の潜在問題に応えることができる社員になりたいと思っています。

下井

食の業界は本当に多種多様。全国展開しているコンビニエンスストアやスーパーマーケットもあれば、キッチンカー、個人経営の飲食店まで様々です。それぞれのトレンド、ニーズをいち早くキャッチするアンテナを広げて、得られた情報を青木さん、橋本さんたちに共有していきたいですね!